わたぼこ堂雑記帳

「お前のはのーみそはわたぼこりか!」 う~ん、さもありなん…そんなたけちよの日記。あなたのお役に立ちません。

あの頃はあの頃で

二世と競って全力疾走した挙句、マンガのように転んで、相方が言いました。



「いや〜・・・もう年齢や。身体がついていかん。
 自分で思い描いてる動きに、身体がついていかへんねん。
 もう年齢やね」



え?そうなん?
私、そーいうのないけどなぁ。
身体なんて、いつだって思うようには動かぬものでしたよ?
運動オンチですから。
思うようには動かぬものです、身体というものは。子どもの時も、今も。
それで当たり前。35年ずーーっとそうでしたよ?私。



「・・・それはある意味、幸せかも知れんなぁ」



そんなやりとりをしながら。
思い出すことひとつ。



「その年齢になると、衰えたなーって思うでしょ〜。
 みんなそうなんよ?若いころ、もっとお手入れしとけばって。
 肌も身体も。だからお母さん言ったでしょ?」



したり顔で、母上が言ったのです。



いや〜?あんましそうも思わんよ〜?
確かに肌年齢は落ちたし、シミなんてものも出てきたけど、
『若いころはキレイだったのに』ってのが、そもそもないもん私。
若いころから、別にキレイではなかったです。
いまと比べればそりゃ昔の方が若いけど、昔は昔で同級生の中にいたから
その中で比べりゃー50点ラインをギリセーフorアウトってトコだったし。
あの頃はあの頃で、何しても引かないニキビに悩まされたりしてたしね。
ニキビが出なくなった今の方が、いろいろラクです。
手の水分量も変わってきたけど、働く手になったと思えば悪くない。



そう告げた先には、毒気を抜かれたような顔の母上がおりましたっけ。



思い出すこと、もうひとつ。



「昔と比べて物覚え悪くなったでしょ。
 若いうちに勉強しとけ、って大人が言ってたこと、今なら身に染みて分かるでしょ」



これも母上。
簿記の勉強をしてた頃。



うーん・・・そうかなぁ?言う程でもないけどなぁ。
確かに若干、頭に入りにくいような感じはあるけど、
それを上回るものが今ならいろいろあるよ?
どうすれば記憶に残りやすいか、手段も知ってるし。
自分のクセみたなものも掴めてきた。
あの頃ほど、ドキドキやワクワクへの渇望に惑わされることもないし。
何より、覚えなきゃいけない量があの頃とはケタ違いだから、
取りこぼし率で考えたら・・・どっこいどっこいじゃね?
あの頃だって、向いてないものは全然頭に入らなかったよー。
いま覚えてるのは、ある程度向いてると判断できるものだから、割とラクよ。



「へ〜・・・アンタすごいねぇ」



本当にすごいと思ってるのか思ってないのか、ビミョーな表情で
母上はつぶやいたのです。



はてさて。
この各エピソード、一般的な意見はどちらでしょう?



言うまでもなく、私じゃない方ですよねー。



私、最近よく思うのだが。
どうして人というのは、
『若いころの自分は、もっと能力が高かった』
『若いうちに、もっと頑張っておけばよかった』
って思うのかなぁ?



あの頃はあの頃で。
悩んでいることがあって。
全力を出し切っていて。
理解していることも、覚悟していることも少ないながらに。
今よりも小さいハートを、たくさんのことで溢れさせながら。
渇望に、抗いながら。
一生懸命、やっていたハズなのに。



どうして大人になると、それらのことをすっかり忘れて、
今の苦しみを過去の自分に転嫁してしまうのだろう。



あの時の自分に、失礼だと思うんだけどねー?



そりゃーあの頃の自分だって、決して努力家ではなかったけれども。
だったら今の自分が、努力家になってみせればいいと思うよ。
あの頃と同じものは手に入らないけど、違うものを今なら、持っているんだから。
そいつで、今なりに、戦えばいいじゃん。




そんなことを、異端な大人は、思っております。
あんまし後悔ってないなー。懺悔は多数あるけどね。