それってどんなリサイタル?
ふと思い出したので、正月帰省したときの話。
* * *
帰省した時は必ず、仏壇に紅茶を供えるようにしております。
20歳まで共に暮らしたばーちゃんが好きだったのですよね、紅茶。
供養に水モノはいいとか言うからねー。帰省時の必須行事。
その日は晩ごはんを終え、いただいたシュークリームを食べようかという
話になった頃でした。
だったら紅茶だよねー…じゃあ、ばーちゃんにお供えする分も一緒に淹れるかー…と
何気なく口にしたのです。
すると、二世が…突然、廊下に向かって走り出した!
「あっ、やばいッ!!」
母ですもの。瞬時に分かりましたとも、えぇ。
二世さん、お供えと聞いて思い出したのですよ。
仏壇の存在を。そして…
…そこに、お気に入りの『楽器』があることを…!
ふだん仏壇のある環境で生活していない二世にとっては、
仏壇の『チーン』(りん、というらしいですね)は、たいそう魅力的なものであるらしく。
それはもう、見つけ次第、力の限り鳴らしまくるのです。
そんだけ叩いたら五月蠅くてじーちゃんも生き返るわッ、ってぐらい鳴らしまくる。
(注:生き返りません)
いくら怒られても、ほとぼりが冷めたら何度でも手を出す。
時刻は夜。最悪です。
もちろん昼間でも罰当たりには違いありませんが。
とにかく、止めなきゃいけない。
二世の目論見に気付いた私は、瞬時にこう叫びました。
「ヤバいッ!『チンチンリサイタル』や!!」
真っ先に反応してくれたのが、フットワークの軽い、長男殿のお嫁ちゃんでした。
「私いきますっ」
「ありがとう、助かるッ」
お嫁ちゃんはそのまま二世を追いかけて、追い抜いて…
「二世さん、ハイっ!」
仏間…の手前にある、トイレのドアを開けたのです。
…
「…
えーっと…
ゴメン、
そっちの『チンチン』じゃなくてー…」
あの時のお嫁ちゃんの申し訳な恥ずかしそうな顔と言ったらゴメン私が全面的に悪い。