ことばはなくとも、おもいはそのちいさなからだから
今はどうかわかりませんが、ウチの大学には野イチゴが実っておりました。
山を切り開いて作られた大学は、整備にかける予算も乏しく。
夏休み直前ともなると、伸び放題の雑草に、階段が埋まりかけるレベル。
そんな緑豊かな豊かすぎる環境に、野イチゴも雑草の一つとして
石垣一面に力強くはびこっておりました。
初夏の緑に、紅い粒のコントラストが。それはもう、みごとに、たわわに。
ある時、野鳥が、野イチゴをひと粒くわえて飛び去るところを目撃しました。
上手にホバリングして、もたつきながらも何とかひと粒咥えて、
一目散に何処かへと飛び去っていったのです。
その姿が、あまりにも愛らしく。
私は思わず立ち止まり、その姿をただただ見送りました。
野鳥の小さな脳が、得られたよろこびでオーバーフローしているかのようで。
飛び去る姿に、しあわせのオーラをこれでもかというほど纏い。
安全な場所まで運んで食べるのでしょう、その甘く薫り高い、
人間さえも魅了する紅い果実を。その瞬間は、例えようもなく幸せなことでしょう。
いやがうえにもそんなことを想起させる、小さいけれど力強い羽ばたき。
いのちは、よろこびにあふれている。
その野鳥は、たった数秒間で、私の魂にそれを刻み込んでいきました。
今日ゲームセンターから大きいぬいぐるみ抱えて出てきたねーちゃんが
これと同じオーラ纏って彼氏に駆け寄ってってたから思わず和んだ。