わたぼこ堂雑記帳

「お前のはのーみそはわたぼこりか!」 う~ん、さもありなん…そんなたけちよの日記。あなたのお役に立ちません。

確か『楽しき農夫』

階下の方だか近隣の誰だかが、ピアノを習っているようで。
夕方頃しばしば、練習する音を耳にします。



小さな音なので今まで特に意識はしていなかったのですが、
最近になって、気になるようになってきました。



新しい曲の練習が、始まったのです。



その曲は、昔私がチャレンジした曲。
同時に練習している他の曲と比べ格段にリズムが取りにくく、
ついぞ弾ける事の無いままおけいこを止めてしまった曲。



後日入手したピアノ曲集のテープに収録されているのを見て、
やっぱり難しい曲だったのだと少し安心した覚えのある曲。
そのテープでプロの手による演奏を聞いて、プロの凄さを実感した曲。
それなのに他の収録曲と比べて多少聞き応えに欠ける事に驚き、
意外と短い曲であるという事実にもう一つ驚いた、そんなたくさんの思い出のある曲。



その曲を、今、見知らぬ誰かが練習しているのです。



やはり難しいようで、練習し始めて暫く経つのですが
未だに最初の1小節ですら上手く弾けていません。
何度も弾こうとして、つまづいて、仕方なしに片手ずつの練習に切り替えて、
それでも弾けなくて諦めて次の曲の練習に取り掛かる…その繰り返し。
私も通った道です。というか、まるっきり同じ道なのです。もの凄い親近感。



しかし、ゆっくりではありますが、その見知らぬ誰かは、確実に、
聞くたび上達しているのです。



私には、ついに弾けなかった、あの曲。



弾けるようになって欲しいような。
このまま奮闘し続けていて欲しいような。



傍観者は、小さなワガママを胸に秘めたまま、ただ耳を傾けています。